人は死ぬと、その「魂」が「蝶」の形になって身体から抜け出る。
蝶が飛び立ったあと肉体はすぐに朽ち果ててしまう。
蝶にはその人の人生がデータとして記録されている。
蝶は体内を出て49日を過ぎると消失する。
死人の蝶を回収・凍結管理する国家機関「死局」では、
故人のデータと遺族を3Dホログラムで繋いだり、
膨大な人間のデータを国有のビッグデータとして運用するなどしている。
死局に勤める小野百士は、14年前、飛行機事故で家族を失った。
双子の妹・千里だけは蝶を失ってもなお身体は朽ちず、
時をとめ、意識がないまま現在も病院で生きている。
百士が覚えているのは、事故当時、何者かが千里の蝶を奪い去ったこと。
千里の蝶の手がかりを探るため、百士は死局での道を選んだ。
果たして、千里の蝶の行方とは…。
それぞれの理由で死局に集まったチームを描く、
蝶をめぐる近未来SFアクション!
【前号までのあらすじ】
「大会議」中の死局を襲ったテロは、犠牲者を出しつつも収束した。
テロリストたちは暫定敵対組織である宗教組織・霊由会 東京支部の一員であることがわかった。
霊由会総裁代理であり神田の妻である六花は、霊由会の内部分裂を告白し、死局と霊由会が手を組むことを直接持ちかけてきた。
そして死の間際にある霊由会総裁・神田大善の蝶の保護を死局に依頼したのだった。
小野百士(おの・ひゃくし)
双子の妹・千里の蝶を探すため死局に入った。極度のシスコン。蝶を違法に取引するものには冷徹だが、本当は義理堅く涙もろい。
小野千里(おの・せんり)
事故当時からさほど成長していない姿で植物状態のまま病院に入院している。
荒井美仁(あらい・みに)
百士が所属するチームのボス。夫の蝶を何者かに奪われてしまった過去を持つ。二児の母。
神田瞬(かんだ・しゅん)
百士の先輩。関西弁。卑屈で皮肉屋。大型の武器を好んで使う。シスコンの百士とはウマが合わない。
佐川初音(さがわ・はつね)
小柄な体躯で、素早さを武器にした体術が得意。佐川に憧れる男性も多い。
田中晃(たなか・あきら)
温厚で冷静なチームの相談役のような存在。実はとても強く、荒井でもかなわない。