本好きばかりがくらす町・栞ヶ浜。
両親とともに亡き祖父の家がある栞ヶ浜へ引っ越してきた高校生・魚住遊紙。
“書痴”と呼ばれた祖父の血を継いだ遊紙には、一度読んだ本の内容は忘れないという特技があった。
転校先の栞ヶ浜学園で図書館に足を踏み入れた遊紙は、文字を喰う魚〈紙魚〉を飲み込んでしまう。
そんな彼の前に、不思議な少女が現れて…!?
日常と幻想が入り乱れる、本づくしのファンタジー!
【前号までのあらすじ】
60年に一度の神木代替わりの儀式。
栞ヶ浜の街には、白い花が舞い続けたり、本の文字が虫食いのように抜けていたり、さらに「本」の概念が薄れてきたり……
不思議なことが起こり続けている。
遊紙の体の中にずっと住み続けていた紙魚は、栞ヶ浜の新しい神木の種子であった。
本来であれば、儀式によって宿主の体内から大地に挿げ替えるべきものだが、遊紙が未熟であったため、紙魚が育ちすぎてしまった。
このままでは紙魚は遊紙の体を食い破り、且つ神木にもなりきれずに荒ぶる神になってしまう……。
かすかな望みをかけて、遊紙は、先ずは自分の体から紙魚を追い出すために海へと飛び込んだのだった……。
魚住遊紙(うおずみゆうし)
無類の本好きで、一度読んだ本は忘れない。紙魚が寄生したことで、今まで読んだ本の内容を現実世界に幻視できるようになった。
モリ
あらゆる本が集い、眠る「くおんの森」を、時を超えて守る少女。
羊さん
モリと共に「くおんの森」に棲む。
紙魚
文字を喰う魚。紙魚に喰われるとその本の文字がなくなってしまう。
玉子
図書館の司書。お菓子作りの腕前はぴかいち。
詩音
美しい歌声を持つ転校生。